ペットの体調大丈夫?季節の変わり目で注意したいこと
出典:PIXTA
寒暖差の大きな季節は体調を崩すペットが増えます。もともとあった疾患が進行してしまうことも多く、愛犬家や愛猫家にとっては心配な時期です。
なぜ季節の変わり目はペットにとって負担になるのか、また、体調悪化を予防する方法や対処法も合わせてご紹介します。
季節の変わり目、ペットが体調を崩す理由は?
季節の変わり目は寒暖差が大きくなる時期です。日によって気温差が大きくなることはもちろん、天候によっては一日の中だけでも大きく気温が変化することがあります。
人間は前日との気温差が10度以上になると身体にストレスとして作用し、交感神経や副交感神経といった自律神経に影響を及ぼすと考えられています。
過去の研究では、低温と高温の刺激で交感神経が活性化され、心拍数や血圧など循環器系の機能に影響することも証明されています。
動物でも同じように大きな温度や湿度の差は自律神経の乱れを引き起こし、ストレスになると考えられます。
季節の変わり目の体調変化例
犬の場合
大幅な気温差は交感神経の働きを活発化させます。
心拍数を増やしたり血管を狭くして血圧をあげる作用が強くなることで、心臓に負荷がかかる場合があり、それが心疾患の悪化につながる可能性があります。
咳などの呼吸器の症状がみられることもあり、気管虚脱(気管がつぶれて呼吸困難になる病気)や短頭種気道症候群(フレンチ・ブルドッグのような短頭種に見られる気道の障害)などの呼吸器疾患も悪化しやすくなります。
猫の場合
犬と同じようなメカニズムで、自律神経のバランスが乱れることで心疾患が悪化する可能性があります。
交感神経の働きで気管の筋肉が締まり、気管が狭くなります。これは猫喘息などの呼吸器疾患の症状に影響することがあります。
うさぎ
気温差の大きな時期、うさぎに多いのが食滞です。食滞とはなんらかの原因により腸管の動きが停滞することでさまざまな不調をもたらす疾患です。
うさぎは常に草を食べて腸を動かしている動物なので、腸の動きが悪くなる食滞は生命の危険に直結します。
体調変化予防のポイント
おうちでは天候を見ながら空調を利用し、気温と湿度を24時間を通じてできるだけ一定にすることをおすすめします。
一定の気温湿度を保ち、気温差を最小限にすることで自律神経への影響を少なくすることができます。
気管虚脱は太り気味のわんちゃんに多いため、適正な体型を保つことで悪化するリスクを下げることができます。
短頭種気道症候群はパグなど鼻が潰れ気味の犬種に多く、運動時や高温時など体の酸素要求量が増えるタイミングで咳や呼吸困難の症状が強く出ます。このような犬種でも適正な体型を心がけ、気温と湿度を快適な状態に維持しましょう。
猫の喘息の原因のひとつにはアレルギーが関与していると考えられ、寒暖差のストレスを最小限にしても特定の季節で症状が悪化してしまうことも少なくありません。
ペットが体調を崩したときの対処法
自律神経の乱れは生命の維持に重要な心臓や呼吸器への負担を増やしてしまいます。命のリスクに関わる事態につながる可能性もあるので、おかしいなと思った際は早めに受診することをおすすめします。
心疾患がある子で、季節の変わり目によく聞く内容としては下記のものが挙げられます。
・咳が増えた
・発作が起きるようになった、頻度が増えた
咳など呼吸器系の症状がみられたり、悪化した場合は下記のことに注意してみていただくと診断を進める上で大きなヒントになります。
・どんなタイミングで咳やくしゃみをするか
・どの季節で悪化しやすいのか
・咳やくしゃみをしている場所は同じか
まとめ
人間だけではなくペットにとっても気温差はストレスになります。
季節の変わり目は体調の変化に注意し、いつもと違う様子がみられた場合は早めに動物病院を受診しましょう。
参考:
福岡義隆*丸本美紀*(2008), 「空間移動に伴う急激な温度変化と人体ストレスの可能性について」, 地球環境研究,Vol.10 121-128
田中悦子, 臼井永男,栗原敏, 「環境温度変化による心臓自律神経機能変化の 経時的定量化」デサントスポーツ科学V01 18,160-166