犬の尿石症、その治療法は?

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

犬も人間同様、さまざまな内臓疾患に罹りやすく、そのためペットの健康管理には食生活を含めたライフスタイル全般を人間が注意を払ってあげる必要があります。そんなペットの内臓疾患より今回は、犬の尿石症について獣医師に伺いました。

犬の尿石症って、どんな病気?

腎臓、膀胱、尿管、尿道のいずれかに結石(固形物)が形成される病気。結石のサイズは大小さまざまですが、犬の場合は細菌感染が原因になっていることが多く痛みや炎症を伴うのが特徴です。また次のような重篤な病気に発展する可能性もあります。
・膀胱炎
・尿の通り道が塞がれて排尿困難に陥る(尿閉)
・尿閉による尿毒症
・尿閉による膀胱破裂

気になる尿石の種類

<ストルバイト>
リン酸アンモニウムマグネシウムともいわれる物質で、膀胱から尿道にかけて発生。尿がアルカリ性の時に作られます。
<シュウ酸カルシウム>
膀胱、腎臓、尿管、尿道など尿が腎臓で作られてから排泄に至るすべての場所で、pHにかかわらず(アルカリ性~酸性)作られます。

結石が作られる4つの原因

1:ミネラルの過剰摂取
食事や飲み物に含まれるカルシウム、マグネシウム、リン、尿酸、ケイ酸といったミネラルを材料に作られるので、ミネラル分の多い食事はほどほどに。特に、感染症への罹患歴がある場合、尿中のタンパクや細菌と、ミネラル分が結合しやすく、結石の原因となるので注意が必要です。

2:尿の濃縮
特に冬場は、寒さから水分摂取が減りやすくなりますが、水分摂取が少なくなると、尿量も少なくなり、そうすると尿の濃縮が発生。結石が作られやすくなってしまうのです。また。膀胱内で細菌が発生しやすくなり、その中でアルカリを生産する菌が増えると、結石ができやすくなります。

3:細菌性膀胱炎への感染
皮膚に常在しているブドウ球菌や大腸菌に感染し細菌性膀胱炎を起こした時もストルバイト結石が形成されやすくなります。

4:犬種
シーズーシュナウザーダルメシアンは結石ができやすい犬種と考えられています。

こんな症状に要注意

・頻尿状態。しかし、1回の尿量が少ない
・排尿時の姿勢の変化(痛がっているため)
・常に陰部を気にする
・血尿
・おしっこが出ない尿閉(結石がどこかに詰まっている可能性大)
尿閉の場合、2日以内に手術を施さなければ命に関わる危険性も。この症状は、特に尿道が細く長い雄のほうが発生しやすいといわれていますので、雄を飼っている方は注意深く経過を観察してください。

病院では、どんな検査をするの?

<触診>
尿道閉塞に陥っている場合、膀胱や腎臓が腫大しているのがわかります。

<尿検査>
pH値の他、蛋白尿、細菌尿の有無を診断できます。さらに尿内に結晶や結石がある場合、その種類(ストルバイトまたはシュウ酸カルシウム)をある程度推定えできます。

<X線検査、超音波検査>
ストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶など尿石症の原因になることが多いものはレントゲンで写りますが、レントゲンには写らない結石もあります。

治療の種類

<療法食で尿結石を溶解させる>
動物病院で処方される尿石症用の療法食を与えます。尿石の種類によって使うフードが異なる他、治療時期によってもフードの種類を変えることがあるので獣医師の指示を受けながら食事療法を行います。

<抗生物質の投与>
細菌感染が疑われる場合は数週間の抗生剤が処方されます。

<手術>
大きな尿結石や、尿道カテーテルで開通できない場合。

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