犬の心臓病、その治療法は?

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

犬の心臓病は発症してしまうと、朝になると突然具合が悪くなるなど、いきなり症状が変化してしまうことも多い病気です。またワンちゃんの死因のなかで、心臓病はがんに次いで二番目に多いとされています。ではどういった心臓病が比較的多いのでしょうか?

犬の心臓病で一番多いのは?

最も多くワンちゃんたちの心臓に問題をもたらしている病気は、僧房弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)という病気です。

心臓には四つの部屋があり、右心房、右心室、左心房、左心室があります。右側の部屋では右心房に戻ってきた血液を右心室に送り、そこから血液を肺に送ります。肺を通過した酸素を多く含む血液は、次に左側の左心房という部屋に戻ってきて、左心室に送られ、左心室から大動脈を経て体循環へと血液が送られていきます。

この心房と心室の間に血液の逆流を防ぐ弁(右心は三尖弁、左心は僧房弁と呼んでいます)のような構造があります。左心の僧房弁という逆流防止装置の構造が壊れて弁として機能しなくなり、血液が左心室から左心房に逆流してしまうのが僧房弁閉鎖不全症です。

気になる症状とは…

症状は心臓から血液が十分送れないことによる息切れ、チアノーゼ(舌の色が紫色になる)などの症状や、肺からの血液が心臓に戻ってこられないために肺に水がたまり、また心臓は心機能を維持しようと一生懸命に動くために心肥大が起こり、その大きくなった心臓が気管支を圧迫したりして咳が出ます。

治療方法は?

人間の僧房弁閉鎖不全症は弁を外科的に交換することができますが、動物の世界では動物の寿命の問題などもあって、現実的にはほとんど普及していません。通常は内科的に治療を行っていくことがほとんどです。

<具体的な内科的治療>
心臓のポンプ機能が低下することが大きな原因なので、治療には血液の循環を高める薬が使われます。

全身の血管を拡張させて心臓からの弱い圧の血液も受けられるように降圧剤(ACE阻害剤)を用いたり、心臓の収縮力を少し強める強心作用のある薬、また水がたまった時には水を減らすための利尿剤、咳が出やすいような場合には気管支拡張剤などが処方されます。

獣医師からのアドバイス

今はよい薬が増えました。早期に病気を発見して、服薬を開始することにより長く生存できるようになったといわれます。咳が出る、また運動をしたがらないような場合には早めに動物病院を受診してください。

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