猫エイズの正しい知識を身につけよう!

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

エイズとは生後にウイルスの感染が原因となって免疫が低下してしまう病気です。人でもエイズに感染することで死に至る可能性もあるということはご存じの方も多く、怖い印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。

では猫エイズはどんな病気なのか、ただ怖いと感じるだけでなく正しい知識を身につけることが大切です。

猫エイズは人にはうつらない?

エイズウイルスの感染により、免疫低下が起こる疾患で、猫にも人にもあり、人に感染するウイルス(HIV)と猫に感染するウイルス(FIV)とがあり、非常に構造は似ていますが同じウイルスではないので、猫のウイルスが人にうつったり、またその逆もありません。

このウイルスはそばにいるだけで伝染することはなく、咬みついた傷口からの感染が多いとされ、唾液に含まれるウイルスが、傷を介して体内に入ることが原因とされています。

感染するとどうなるの?

FIVの感染を受けると、免疫が落ちることで感染症などにかかりやすくなり、呼吸器疾患、口内炎、腸炎、あるいは貧血、腫瘍などの症状が出やすくなります。症状は徐々に数年にわたって現れてきて衰弱により死亡します。

感染を受けると、

1.ウイルスが活発に活動し、猫の免疫と激しく闘う時期(第1ステージ、急性期)
2.健康な猫と変らない時期(第2ステージ、無症状キャリア期)
3.エイズ関連症候群といわれる症状が出る時期(第3ステージ)
4.免疫不全症に陥る時期。猫エイズ発症(第4ステージ、終末期)

という経過をたどります。

感染の有無を調べる方法は?

感染したかどうかは血液を用いて、このウイルスに対する抗体を検査します。この検査は感染後1、2か月経たないと陽性とならないので、初回検査のさらに6~8週間後に再検査する必要があります。

またワクチンを接種した猫はこの方法では陽性になってしまうので、PCRという方法を用いた検査が必要です。生後半年以下の子猫では親から母乳を介して受け取った移行抗体があるために抗体検査では陽性になることがあるために、生後半年以降に再度検査する必要があります。

気になる治療法と感染の予防法とは?

治療には逆転写酵素阻害剤がありますが、副作用や効かない場合もあり、あまり使われていません。出てきた症状を緩和するための対症療法が主体となります。

また、FIV感染はほかの猫とのけんかや交尾によりおこるので、感染させないためには完全室内飼育とし、新たに同居を始める場合には導入される猫が感染していないことを確認のうえで同居させるようにすること、予防接種をしているかどうかわからない猫との接触を避けることです。

お家から逃げてしまって、しばらくして帰ってきた猫ちゃんが、エイズの検査をしたら感染してしまっていたということもあります。異変を感じたりしたら、獣医師にすぐ相談しましょう。

その他おすすめのコラム

猫のトイレ・ハイ…トイレ後に急にテンションが上がるのはなぜ?

2020年04月01日

先日、猫好きのスタッフが動画を紹介してくれました。 ≪猫 深夜2時のトイレハイ≫ (YouTubeより) 真夜中にトイレを終えた猫がハイテンションでかわいいと興奮気味に伝えてくれました。 どうして猫はトイレの後に急に元気になるのでしょ... 続きを読む

散歩の寒さ対策はどうする?犬の冬の過ごし方を徹底解説!

2022年12月03日

寒い時期に心配になってくるのはペットの体調です。太陽が出る時間も短くなり、暖かい室内で過ごす機会も増えると思いますが、室内外の寒暖差や散歩のときに注意すべきことはあるのでしょうか。   今回は犬の冬の過ごし方について獣医師がご紹介します。   ... 続きを読む

ペットが亡くなったらどうする?死亡届や保険の手続きなどを簡単解説

2021年03月10日

大切な家族の一員であるペットとのお別れの日。考えるのも辛いことだと思います。しかし、命あるものである以上いつかは訪れてしまう「その日」について、心構えや必要な手続きなどをまとめてみました。  目次 ペットが亡くなったら・・・まずすべきこと ... 続きを読む

人間だけじゃない。犬もつらいアレルギー症状とその原因

2021年04月20日

暖かくなってさまざまな花が咲く季節。花粉症の人にとってはつらい時期かと思います。ところで、犬は花粉症にかかるのでしょうか。そんな疑問にお答えするために犬のアレルギーについて、よくあるご質問にお答えするような形でまとめてみました。アレルギーには、ワクチン接... 続きを読む