その症状は熱中症かも!?犬猫の夏バテ対策

更新日 : 2020年07月09日

出典:PIXTA

夏になると怖いのが熱中症です。

 

毎年多くの方が熱中症で苦しんでおられますが、熱中症は人だけでなく、わんちゃんや猫ちゃんも発症することをご存知でしょうか。

 

重篤な症状に陥ることもあるので、対策をしっかり学んで大切なペットを熱中症から守りましょう。

 

目次

 

犬が熱中症になりやすい環境とは?

気温25度、湿度60%以上は注意

実はわんちゃんは人や猫よりも高温多湿の環境に弱く、飼い主さんが平気な環境でも、わんちゃんだけが熱中症になることもあります。

 

わんちゃんはだいたい気温25度以上、湿度60%以上になると熱中症のリスクが高まってくると言われています。

 

熱中症を発症しやすいシチュエーション

エアコンを入れていない室内でのお留守番や、飼い主が外出した車内でのお留守番は熱中症のリスクを高め、非常に危険です。

 

また、長時間の散歩や屋外でのレクリエーションの際にも注意が必要です。

 

犬種や体質もリスクファクターに

シベリアンハスキーなどもともと寒冷地方にいた犬種や、フレンチブルドッグなどの短頭種や肥満傾向がある場合には暑さに特に弱く、また、慢性疾患がある場合やシニア犬、幼犬などでは体温調節がうまくできないことが多いため、過ごしやすい環境を保つようにしましょう。

 

 

犬猫の熱中症症状、どんなものがある?

犬猫の「夏バテ」サイン

体温が正常範囲より上がってきたとき、体には熱を放出して冷やそうとする働きが備わっています。

 

人は全身に汗を出す汗腺があるので、熱くなると汗をかき、気化熱によって体温を下げます。しかしわんちゃんや猫ちゃんには、汗をかく汗腺が足の裏の肉球にしかありません。

 

わんちゃんはよくハァハァという速い呼吸をしていますが、あれはパンティングといって唾液の気化熱で体温を調整しようとする行動です。

 

猫ではパンティングは犬ほど頻繁にはみられないものの、高温の環境に置かれた時や呼吸困難の時にパンティングすることがあります。

 

なお、わんちゃん猫ちゃんは人よりも容易に熱中症になるので、「夏バテ」は限りなく熱中症に近いものとして説明しています。

 

 

熱中症の症状

熱中症は軽度、中等度、重度と以下のような症状がみられます。

 

軽度:パンティング、よだれを大量に垂らす、落ち着きがなくなる、高温、食欲不振

中等度:嘔吐や下痢、筋肉のけいれん、呼吸困難

重度:意識消失、発作

 

熱中症になった場合の対処法

もしも高温の環境で過ごしている時に元気がなくなったり食欲不振がみられる場合は、すぐに動物病院に連れて行く必要がありますが、応急処置としては下記のものが挙げられます。

 

・涼しい場所に連れていく

・(意識があれば)水分を摂取させる

・わきの下や股の間など大きな血管が通っている場所を流水やアイスノンなどを当てて冷やす

 

これらを行いつつ、すみやかに動物病院に向かいます。可能であれば、事前に動物病院へ連絡を入れることをお勧めします。

 

緊急性の高い状態と判断されれば、優先して処置を受けることができるかもしれません。

 

 

熱中症や夏バテを予防するために

 

お散歩を工夫しよう

わんちゃんがいる家庭では、夏の間の温度は22~24度くらいで、湿度50%前後を保ってあげることをおすすめします。

 

お散歩も、暑い時期は早朝や夕方など涼しい時間に変更する必要があります。

 

もしも「おしっこやうんちは絶対にお外じゃないとできない!」というタイプの子でなければ、お散歩の回数を減らすのもよいでしょう。

 

例えば、普段は朝夕の2回散歩に行っているけれど、仕事や家事の関係で早朝に変更するのも難しいときは、朝は一回スキップして、涼しくなる夕方のみ行うといった具合です。

 

トイレはお外でしたいというタイプの子であれば、いつもよりお散歩時間を短くして、トイレが済んだらお家に帰るという形でもよいと思います。

 

お散歩中も水分がとれるように、お散歩用給水ボトルなどを持ち歩いてこまめに水分補給してあげたり、熱いコンクリートで肉球を火傷しないように靴下を履かせたりといった対策をしてあげるのもいいですね。

 

その他、日陰の多いコースを選んで歩いたり、冷却ベストなど体を冷やせるものを身に着けたりするのも効果的です。

 

長い毛はサマーカット

また、毛が長くて密な子は、サマーカットをして熱が必要以上にこもらないようにするのもよい対策です。

 

服を着ないわんちゃんにとって、毛は紫外線から地肌を守る大切な役割も担っているため、どのくらい短くするかはトリマーさんと相談して決めたり、丸刈りにした場合はメッシュ素材で風通しのよい洋服を着せてあげるとよいでしょう。

 

食中毒に注意

夏バテや熱中症とは少し違いますが、もしもウェットフードやドライフードをふやかして与えている場合は注意が必要です。

 

高温多湿の時期は雑菌が繁殖しやすく、食中毒になる可能性もあるためです。

 

残したウェットフードは早めに片付け、お水も新鮮なものが飲めるようにしてあげることをおすすめします。

 

 

まとめ

 

わんちゃんは人よりも暑さや湿度に弱く熱中症になりやすい生き物です。そのため、夏はいろいろと気を付けなければいけないことが増えると思います。

 

飼い主である人間の生活もありますから、トイレの問題などがなければ日中暑くなる時間帯はお休みしていただき、空調を効かせたおうちで遊ぶ時間を増やすなど、できる工夫をして無理なく楽しく夏を乗り切りましょう。

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