ワンちゃんにも発症する「エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)」ってどんな病気?
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「エリテマトーデス」には2種類ある
犬のエリテマトーデスは2種類あります。1つは、全身にさまざまな症状がでる「全身性エリテマトーデス」。そしてもう1つは、皮膚だけに症状がでる「円板状エリテマトーデス」です。どちらのタイプも、自分の細胞の核を異物とみなしてしまうことで、これに対する抗体を作り出してしまう免疫異常です。
シェットランドシープドッグやジャーマンシェパードドッグなどの犬種にかかりやすく、メスで発症することが多いですがオスが発症した場合はメスよりも全身性エリテマトーデスになる傾向があると言われています。平均発症年齢は5歳で、中年齢で発症することが多いと言われていますが、6ヶ月の子犬でも発症したという報告もあります。
「全身性エリテマトーデス」の症状は?
抗原抗体反応がどこで起きるかによって違いますが、以下のような症状がでます。・多発性関節炎
(手足の関節、顎の関節、背骨の関節など)
・熱が出たり、下がったりを繰り返す間欠熱
・尿と一緒にたんぱく質が出る
・貧血
・リンパ節が大きくなる
・皮膚が紅くなり(紅斑)、脱毛する
・顔回りや口の中に水疱ができ、これが膿疱やかさぶたになる
・鼻の色素が薄くなる
・肉球に潰瘍ができる
・爪の回りが化膿する
「円板状エリテマトーデス」の症状は?
症状は主に鼻と耳にでます。また、全身性エリテマトーデスと同じような水疱や膿疱、かさぶたができます。痒みや痛みは出たり、出なかったりします。どのように検査・診断されるの?
診断は特徴的な臨床症状と併せて、白血球の状態や貧血は起きていないかを、クームス試験や抗核抗体検査、尿検査など広範囲に検査して行います。また、皮膚の一部を切り取って顕微鏡で細胞の状態を観察します。日光を浴びたり、細菌などに感染したり、妊娠や怪我、手術をするなど、症状を悪化させることは避けるようにします。
獣医師からのアドバイス
治療は、免疫の働きを抑えて炎症をとめる薬を飲みます。導入期、維持期、支持期と3期間に分けて治療をするため、とても長い時間がかかります。長く投薬していると胃腸障害を起こしたり、免疫を抑える作用の薬のため感染症にかかりやすくなるため、必ず獣医師の指示通りに投薬しましょう。予後は発症した場所や症状の程度によって異なりますが、軽い円板状エリテマトーデスの場合、紫外線を避けたりビタミンの一種を飲ませたり、炎症を抑える成分が入った軟膏を塗ったりすることで対応します。