ワンちゃんにも発症する「エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)」ってどんな病気?

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

人はもちろん、犬にも発症する「エリテマトーデス」という病気をご存知ですか? 今回は、このあまり聞きなれない病気の症状や治療法について、獣医師に解説してもらいました。

「エリテマトーデス」には2種類ある

犬のエリテマトーデスは2種類あります。
1つは、全身にさまざまな症状がでる「全身性エリテマトーデス」。そしてもう1つは、皮膚だけに症状がでる「円板状エリテマトーデス」です。どちらのタイプも、自分の細胞の核を異物とみなしてしまうことで、これに対する抗体を作り出してしまう免疫異常です。

シェットランドシープドッグやジャーマンシェパードドッグなどの犬種にかかりやすく、メスで発症することが多いですがオスが発症した場合はメスよりも全身性エリテマトーデスになる傾向があると言われています。平均発症年齢は5歳で、中年齢で発症することが多いと言われていますが、6ヶ月の子犬でも発症したという報告もあります。

「全身性エリテマトーデス」の症状は?

抗原抗体反応がどこで起きるかによって違いますが、以下のような症状がでます。

・多発性関節炎
 (手足の関節、顎の関節、背骨の関節など)
・熱が出たり、下がったりを繰り返す間欠熱
・尿と一緒にたんぱく質が出る
・貧血
・リンパ節が大きくなる
・皮膚が紅くなり(紅斑)、脱毛する
・顔回りや口の中に水疱ができ、これが膿疱やかさぶたになる
・鼻の色素が薄くなる
・肉球に潰瘍ができる
・爪の回りが化膿する

「円板状エリテマトーデス」の症状は?

症状は主ににでます。また、全身性エリテマトーデスと同じような水疱や膿疱、かさぶたができます。痒みや痛みは出たり、出なかったりします。

どのように検査・診断されるの?

診断は特徴的な臨床症状と併せて、白血球の状態貧血は起きていないかを、クームス試験抗核抗体検査、尿検査など広範囲に検査して行います。また、皮膚の一部を切り取って顕微鏡で細胞の状態を観察します。

日光を浴びたり、細菌などに感染したり、妊娠や怪我、手術をするなど、症状を悪化させることは避けるようにします。

獣医師からのアドバイス

治療は、免疫の働きを抑えて炎症をとめる薬を飲みます。導入期、維持期、支持期と3期間に分けて治療をするため、とても長い時間がかかります。長く投薬していると胃腸障害を起こしたり、免疫を抑える作用の薬のため感染症にかかりやすくなるため、必ず獣医師の指示通りに投薬しましょう。

予後は発症した場所や症状の程度によって異なりますが、軽い円板状エリテマトーデスの場合、紫外線を避けたりビタミンの一種を飲ませたり、炎症を抑える成分が入った軟膏を塗ったりすることで対応します。

その他おすすめのコラム

愛犬が寝てばかりで元気がない…何かの病気かも?

2020年04月01日

愛犬に元気がないと心配ですね。仔犬の頃はよく寝るものです。起きているとき元気で食欲があって排泄もあり、毎日体重が増えていれば心配いりません。しかしながら、性格にもよりますがあまりにも大人しい仔犬は、もしかしたら先天的に何かトラブルを抱えているかもしれませ... 続きを読む

メスの犬に多いらしい「乳腺腫瘍」ってどんなもの?

2020年04月01日

毎日、愛犬とスキンシップをしていますか?愛犬の体をよく触ってみて「しこり」があったら、それは腫瘍かもしれません…心配ですね。腫瘍の中でもメスに多く発症するというのが「乳腺腫瘍」。その原因や治療法などについて、獣医師から詳しい話を聞いてみました。 続きを読む

チワワの多頭飼いにおける悩みとは?性別や犬種の相性も解説

2020年11月26日

愛くるしい容姿を持つチワワに一目ぼれをして、ご家族に迎えた方も多いのではないでしょうか。そして、家族の一員として慣れてきたころ、もう1頭を迎えたいと思う方もいるかもしれません。   この記事ではチワワの多頭飼いに対する適性や、多頭飼いのメリット・デメ... 続きを読む

人気の猫の種類は?性格や特徴、適した飼い方を知ろう!

2021年04月20日

テレビでも雑誌でも猫を見ない日はないほどの空前の猫ブーム。実は、数年前に犬の飼育頭数を追い越していたのはご存知でしょうか。その可愛らしさや飼いやすさから、まだまだ人気は続きそう。 そこで今回は人気の猫種にスポットをあて、性格や特徴・飼育の注意点などをご... 続きを読む