膝のお皿が外れてしまう犬の「膝蓋骨脱臼」。その治療法とは?

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

犬がひょこひょこ歩いていたり、片足をあげたままにしているなどの症状が見られる時は、「膝蓋骨脱臼」である可能性が高いといえます。特に小型犬でよく見られ、そのまま放置しておくと骨が変形してしまうこともあるため、異変に気付いたらすぐに病院を受診する必要があります。

今回はこの「膝蓋骨脱臼」という病気について、獣医師に伺いました。

「膝蓋骨脱臼」ってどんな病気?

膝のお皿の部分を膝蓋骨と呼び、これが大腿骨にある溝の上にのっかっている状態が正常です。しかし、この位置より内側や外側に外れてしまう病気のことを「膝蓋骨脱臼」といいます。

小型犬では内側に、大型犬では外側に脱臼することが多い傾向にあります。先天的に膝や膝の周辺に変形などの異常があったり、後天的な外傷や打撲などが原因となります。初期では無症状のことも多く、病気が進行してしまうことがあります。

症状により4つのグレードに分けられる

「膝蓋骨脱臼」は、症状や骨の状態によって、以下の4つのグレードに分けられます。

【グレード1】
痛みはほとんどなく、無症状のことが多い。足を伸ばして膝蓋骨を指で押すと外れるが、離すと正常な位置に戻ります。

【グレード2】
膝を曲げると脱臼し、足を伸ばしたり指で押さないと元に戻りません。犬自身が足を伸ばして膝蓋骨を戻すしぐさをすることもあります。脱臼している時は跛行が見られますが、元に戻ると普通に歩けます。慢性化すると膝の靭帯が伸びてしまったり、グレード3に移行します。

【グレード3】
膝蓋骨は外れっぱなしで、指で押して元の位置に戻しても、離すと外れます。跛行しないこともありますが、内股で歩いたり跛行が見られることがあります。骨の変形が目立ってきます。

【グレード4】
骨の変形が重度で膝が曲がったままになり、歩くのが困難な状態です。足を上げたままにしていたり、地面にほんの少し足をつく程度のこともあります。

どんな治療が行われるの?

グレードが低く症状が軽い場合や、手術が必要だが麻酔をかけるリスクが高い場合は、痛みがあれば鎮痛薬や消炎剤を使ったり、温熱レーザーによる治療、膝関節のサポートのためのサプリメントを用います。

ただし、脱臼が頻繁で炎症を繰り返す場合や、先天的な骨の異常があり成長とともに骨の変形が重度化する可能性が高い場合には、手術が必要になります。外科手術では、膝蓋関節の溝を深く削る、靭帯を縫い縮める、筋肉を固定する、骨の変形を矯正するなどの方法があります。

獣医師からのアドバイス

膝蓋骨脱臼になってしまった時には、以下の3点に注意しましょう。

・フローリングやつるつるした床にはじゅうたんやマットを敷く
・足の裏の毛をカットしてすべりにくくする
・ジャンプや回転運動などの運動を避ける


痛みがある場合は犬も動きたがりませんが、鎮痛剤などにより痛みがなくなると動いてしまいます。そんな時は、飼い主側から運動を誘わないように気を付けましょう。

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