腎不全と診断された愛犬の食事…どうしたいいのか教えて!

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

犬も腎不全になります。最近では腎障害と呼ばれることもあります。もしあなたの愛犬が腎不全になったら、食事はどんなことに気をつければよいのでしょうか?今日は犬の腎不全の状態や、腎不全になったときの食物の選び方などについて、獣医師が解説します。

腎不全の種類

腎不全には色々あり、大きく分けて「急性腎不全」と「慢性腎不全」があります。それぞれどのような原因が考えられるか紹介します。

【急性腎不全】
急性腎不全は原因のある場所によって3つに分けられます。

1. 腎前性腎不全(原因が腎臓より前にあるタイプ)
・脱水がひどい場合
・心疾患による心臓の拍出量(1回の拍動で、どれだけ血液を送り出せるか)が低下している
・熱中症で一時的に心機能が低下しているなど
腎臓そのものは機能しているので、適切に処置をしてあげると回復できます。

2. 腎後性腎不全(原因が腎臓より後ろにあるタイプ)
・尿の通り道(尿管、膀胱、尿道)が結石や腫瘍などによって閉塞を起こしている
・交通事故などによって尿路が損傷し、尿が尿路外の体内に漏れ出ているなど
腎臓そのものは異常がないので回復が期待できます。

3. 腎性腎不全(原因が腎臓そのものにあるタイプ)
・腎臓に毒性を持つ物質(鉛、ヒ素などの重金属やエチレングリコール、メラミンなどの有機化合物、殺鼠剤、ビタミンD製剤、除草剤、有毒植物など)を摂取してしまった
・レプトスピラ症などの感染症にかかっている
・腎臓の組織が傷ついている(ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症、播取性血管内凝固症候群(DIC)など)
・怪我をしている
・先天的に腎臓に異常がある場合など

【慢性腎不全】
慢性腎不全の原因は様々です。少しずつ進行するため、だいたい5年以上かけてはっきりとした症状を示すようになります。腎臓そのものが一度ダメージを受けており、そのため復活は望めません。

腎不全の犬はリンの摂取を抑える

リンは体内のカルシウムに出会うとくっつきます。カルシウムにくっついたリンは腎臓に蓄積され、さらに腎臓を損傷してしまいます。 また、腎不全のときはリンが血液中にたくさんある状態(高リン血症)になるため、フードはリンの量を抑える必要があります。

安価ではありませんが、一番簡単で手っ取り早い方法は処方食を与えることです。各メーカーが腎不全用のフードを作っていて、大手ホームセンターなどで市販されているものもあります。しかし、やはり受診した獣医師が薦めたものが良いでしょう。ただ、どんなに良いフードでも食べてくれないと意味がありませんので、その他の食べ物についても紹介します。

【タンパク質】
肉にはリンが多く含まれていますから肉は与えないでください…と言いたいところですが、犬は低タンパク質の食物から、十分な栄養素を摂取するのが難しい動物です。ですから高品質のタンパク質を与えてやりましょう。

・鶏肉
・豚肉
・カッテージチーズ
・ヨーグルト
・卵

など。乳製品は下痢するようならやめてください。

【炭水化物】
炭水化物はリンの含有量が少ないものを選びましょう。

・白米
・ジャガイモ
・ビーフン
・パールタピオカ
など。

獣医師からのアドバイス

脂肪は、エネルギー源として大事な栄養素です。リンの含有量はタンパク質より少ないので、上手に取り入れてください。ただ、与えすぎると膵炎(すいえん)を引き起こすなど問題もあります。定期的にチェックしておきましょう(血液検査で分かりますので担当の獣医師にお願いしてください)

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