犬のアレルギー性皮膚炎、その治療法は?

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

完治を目指す病気ではなく、できるだけ痒みと炎症のない状態をつくってうまく付き合っていくことが治療の目的となる病気だという、アレルギー性皮膚炎。そのため、飼い主の理解と努力が治療には重要になってきます。

今回は、複数あるアトピー性皮膚炎の治療について、獣医師に解説いただきました。

犬のアレルギー性皮膚炎とは?

この病気の中でも発生が多いのが、アトピー性皮膚炎。これは、環境中のアレルゲンによって引き起こされることが多く、痒みを伴う皮膚病。遺伝が関係することもあり、特徴的な症状を示します。治療は多くの場合、それぞれの犬とそのときどきの状態に合わせて複数組み合わせて行います。

症状を軽減する4つの対処法

1:アレルゲンの回避
花粉やハウスダストマイトなど、アトピー性皮膚炎を起こすアレルゲンは複数あります。検査や曝露歴などから原因となるアレルゲンが分かっていれば、こまめな掃除や洗濯、屋外に出す時間や季節を選ぶなどして、犬がアレルゲンにさらされる危険性を減らしましょう。食べ物が関係していることが疑われる場合には食事内容を変更し、ノミやダニの関与が疑われる場合には徹底的な駆除を行います。

2:炎症を抑える薬
ヒフに炎症がある場合には、まずそれを治してあげる必要があります。

<炎症を抑えるために使われる薬>
シクロスポリンなどの非ステロイド系抗炎症薬、さまざまな抗ヒスタミン剤、そしてステロイドがあります。

<ステロイド以外の薬の特徴>
犬によって合うか合わないかが大きく異なりますので、複数の薬を試すことになるかもしれません。

<ステロイドの特徴>
アトピー性皮膚炎の治療で標準的な薬です。副作用を起こさないためには、病院の指示を守り、食欲や飲水量、ヒフの状態に変化がないか、よくチェックして下さい。投薬量や期間に疑問を持ったら、率直に主治医の先生に相談しましょう。

3:アレルゲン特異的免疫療法
少し難しい名前ですが、減感作療法という名前でも知られています。従来回避していたアレルゲンを、逆に体に投与し、徐々にアレルゲンに慣れさせ、過剰なアレルギー反応を起させない体質に変えていく治療法です。どの犬でも行えるわけではなく、またこの治療法を実施できる病院も限られていますが、アトピー性皮膚炎の犬では選択肢の一つとなる治療法です。

4:抗菌剤
アトピー性皮膚炎の犬では細菌や酵母(カビの一種)の感染が起きやすくなっています。必要に応じて、飲み薬や塗り薬、シャンプーで抗菌剤を使用して、それらの感染をなくしてあげる必要があります。

獣医師からのアドバイス

上記4つのほか、必須脂肪酸の摂取とヒフのバリア機能を高める製品の使用などがあります。いずれも、効果は断言できませんが試してみる価値はあるかもしれません。アトピー性皮膚炎は、上手に長く付き合う病気ですので、ご自分の愛犬に合った病院と治療法を見つけ、痒みのない生活を送らせてあげたいものです。

その他おすすめのコラム

気づいてあげたい、犬の尿結石の4つサインとは?

2020年04月01日

尿結石というと人間だけの病気と思っていませんか?膀胱環境の悪化や体質など理由はさまざまですが、実はワンちゃんにもみられる病気なのです。 尿結石が出来ることにより、排泄の際に痛みが生じたり、通過障害が起こることによって尿毒症など死の危険もある障害が起... 続きを読む

猫ってやっぱりネズミが好物なの? 猫とねずみの関係

2020年04月01日

漫画やアニメ、絵本などにもネズミを捕る猫の話はよく目にします。また、ネズミ捕りのために猫を飼うという人もいます。ネズミの猫用おもちゃもたくさんありますね。猫は本当にネズミが好物なのでしょうか? 今回は猫とネズミの関係について、獣医師に解説していただ... 続きを読む

犬の咳は病気のサイン!? 考えられる咳の原因とは?

2020年04月01日

もしも愛犬が咳をしていたら、「風邪をひいたのかな?」と思いますか? 犬の咳は一般的に喉・気管・肺といった呼吸器の異常を示す症状のひとつですが、実は呼吸器以外の異常のサインであることもあります。 今回はこの犬の咳について、獣医師に解説していただきました。 続きを読む

自分より立場が上って思ってる!アルファシンドロームについて知りたい!

2020年04月01日

愛犬が自分より立場が上だと思ってる…そう悩む話を聞いたことがあります。そんな状態をアルファシンドロームと呼びます。 今回のテーマはアルファシンドロームです。獣医師にアルファシンドロームを起こしてしまう行動などを聞きました。 続きを読む