犬の肥満細胞腫の症状
カテゴリー:犬の肥満細胞腫
更新日 2020年02月28日
犬の肥満細胞腫の症状
内蔵型と皮膚型の腫瘍があり、内臓型の腫瘍はとくに、骨髄や脾臓、肝臓やリンパ節、肺や腸をおかしていくので、元気がなくなり、食欲が低下する症状がみられ、お腹をさわってみると、脾臓あたりが腫れているのがわかります。また、血液中に肥満細胞が存在することがほとんどです。そして、腸がおかされた場合も元気を失い、食欲の低下がみられ、加えて、下痢や嘔吐がとまらなくなります。
一方、皮膚型の腫瘍の場合には、おもに頭部や首周りの皮膚に多数の腫瘤が生じます。これは次第に全身に広がっていくものですが、初期段階では米粒よりも小さい、異常な腫瘤のため毛の長い動物の場合はブラッシングやこまめなお手入れをしていないと見つけにくいこともあります。
犬の肥満細胞腫の原因
肥満細胞腫は、犬や猫の肥満が原因ではなく、肥満細胞という名の細胞が増殖し固まることが原因で腫瘍となる病気です。ただ、そのようなことが引き起こされる根本的な原因に関しては、はっきりしたことは分かっていません。犬や猫全般に発症するものではありますが、例えばブルドッグなどの短鼻犬種が他の種よりも発症しやすい等の傾向があることから、遺伝的要因の可能性や、また比較的老齢の犬猫に多いことで、免疫力の低下が原因、とも言われています。また、慢性的な炎症や環境的要因の関与も示唆されています。
肥満細胞腫の病変を検査してみて判明することではありますが、c-kit遺伝子の変異が原因で、肥満細胞が腫瘍化することは分かっています。c-kit遺伝子は、KIT蛋白という成長因子の受容体を合成するのですが、これに変異があった場合は、KIT蛋白から過剰に細胞増殖刺激が送られるようになって、肥満細胞が増殖して腫瘍化してしまいます。
犬の肥満細胞腫の予防/治療法
肥満細胞腫は原因がはっきりわかっていない病気として知られています。そのため予防も難しく、病気を未然に防ぐ方法は今のところ存在しません。この病気の治療を効果的に行うには、早期発見と早期治療が何よりも大切になります。肥満細胞腫という名称からも誤解されがちですが、特に肉体的な肥満と発症率に因果関係はありません。一部の純血種で罹りやすいとの報告もあり、ブルドッグの系統やレトリーバー系、シュナウザーなど該当する犬種では注意が必要です。
この病気が皮膚に出来た場合は、外科手術で患部を切除することになります。切除での治療が困難な場合は、放射線での治療をとることもあります。その他にも化学療法として、抗癌剤やステロイド剤をつかう治療法もあります。
しかし切除手術や放射線での治療を行う場合は、高分化型といって腫瘍細胞と正常な細胞の境界線がはっきりしているケースに限られます。もし主要の状態が未分化型だったり、別の部位に転移している場合は積極的な治療は避け、化学療法で対処していくことになります。