ペットが亡くなったらどうする?死亡届や保険の手続きなどを簡単解説
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大切な家族の一員であるペットとのお別れの日。考えるのも辛いことだと思います。しかし、命あるものである以上いつかは訪れてしまう「その日」について、心構えや必要な手続きなどをまとめてみました。
目次
ペットが亡くなったら・・・まずすべきこと
ペットに関する医療技術も進歩し、さまざまな治療が受けられるようになりました。動物病院で亡くなる場合には、動物病院のスタッフが遺体をきれいにしてくれたり、棺に納めたりしてくれることも多いでしょう。しかし、心臓病などで急に病状が悪化して自宅で亡くなったり、自宅での看取りを希望された場合には家族が遺体をきれいにし、安らかな姿にしてあげる必要があります。
■ペットの姿をきれいに保つ
ペットの体は、亡くなると筋肉がゆるみ、尿や便が漏れ出て汚れてしまうことがあります。お腹を優しく押してあげると膀胱に溜まった尿を出すことができます。また、肛門にコットンを詰めてあげることで便が漏れ出てしまうことを防ぐこともできます。
遺体は、しぼった濡れタオルやドライシャンプーなどを使ってきれいにしてあげるといいでしょう。犬の舌は意外に長く口から出てしまいますので、優しく口の中へ戻してあげてください。眼は自然に閉じると思われている方が多いですが、実際には開いたままになってしまうことがほとんどです。気になる場合には、上下のまぶたを優しく合わせてあげましょう。その後、時間とともに筋肉が硬くなっていきます。納棺するのであれば、筋肉の硬直が始まる前に手足を自然な感じに曲げておいてあげるといいでしょう。
■ペットの体、安置場所は?
季節にもよりますが、遺体の臭いが気になってくることがあります。ペットの体は風通しの良い場所に安置しましょう。特に気温の高い季節には、傷みやすいお腹の下などに保冷剤を入れるなどの対応も大切です。
死亡届や保険は?ペットが亡くなった際の手続き
死亡届や保険などの手続きは少し落ち着いてからでも大丈夫ではあるものの、大事なことでもあります。ペット保険に加入していたのであれば、保険料の支払い停止などの手続きのため保険会社へ連絡しておきましょう。
マイクロチップが入っている場合には登録管理団体に亡くなったことを連絡する必要があります。また、犬を飼っていた際には市区町村に飼い犬登録がされるので、(亡くなったときには)死亡届を出さなければなりません。
ペットの葬儀について
大切な家族であるペットが亡くなったことを受け止め、悲しみと向き合うために、お別れの時間をとったり、お葬式を行うことも検討してみてください。いつも使っていたクッションなどに安置して静かにお別れの時を過ごすのもいいですし、火葬業者が葬式を提案してくれることもあります。葬式を行うには費用もかかるのでよく調べて検討しましょう。一般的に、特定の宗教に関係なく対応してくれます。
遺体の火葬はさまざまな民間業者で対応しているほか、お住いの市区町村でも対応してもらうことができます。ただ、市区町村での火葬は遺骨を受け取れない場合がほとんどですので注意が必要です。
地域にもよりますが、民間業者の場合は24時間無休で連絡に応じてもらえることも多く、収骨やその後の埋葬や供養なども合わせて総合的に対応してくれる業者もあります。もちろん、価格によって対応サービスも異なります。
ペットの埋葬や供養の方法
ペットが亡くなれば「お墓」を作ってあげたいと思う飼い主も多いでしょう。ただし、衛生管理の問題もあり、どこに埋葬してもいいということではありません。自宅の庭などの私有地であれば法的な問題はありませんが、ハムスターや小鳥など小動物を除いて、火葬してから埋葬するようにしましょう。
民間業者に火葬を依頼すると、共同墓地への納骨や収骨、骨壺へ納めて戻してくれるなど、さまざまなコースが選べるようになっています。骨壺に納めてもらった場合は、そのまま自宅で供養される飼い主さんも多いようです。
■家族に適したペット霊園を選ぼう
また、ペット霊園も増えてきています。霊園のタイプもさまざまなので、家族の想いにかなった霊園を探すのもいいでしょう。例えば自宅から近い場所にある霊園であれば、頻繁にお参りできる利点があります。また郊外の霊園では景色がよかったり、ドッグランを併設していたりする場所もあるので、同居の犬と一緒に出掛けて亡くなった子の元気な姿を偲ぶことができます。
家族を亡くした悲しみ。ペットロスとどう向き合うか
ペットとの絆の深さや亡くなった経緯などにもよりますが、喪失感は必ず訪れます。その悲しみは容易に癒えるものではないでしょう。ただ、無理に忘れようとするのはあまりおすすめできません。亡くなって姿は見えなくなってしまったとしても、飼い主の心の中でいつまでも生き続けるのがペットです。
抵抗感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、少し落ち着いたら、新たな家族を迎えることを検討するのも決して悪いことではないのです。動物が大好きな飼い主の元には、新たなご縁も訪れるでしょう。新しい家族との生活の中で亡くなった子との楽しい記憶も思い出され、亡くなった子がより一層近しい存在に感じることもあるかもしれません。
最後に獣医師からメッセージ
ペットを取り巻く医療体制も整ってきている中で、闘病の末に亡くなるケースも増えています。老齢で亡くなる場合は少しずつ覚悟ができるものですが、病気で亡くなると飼い主の心の中で「もっと早く病気に気づいてあげられたら」「もっと積極的な治療を受けさせてあげていれば」といった後悔の気持ちが生まれてしまうことも少なくありません。病状や個々の生命力など不確定要素が多く、最善の答えを選択していくのはとても難しいことです。
ただひとつだけ言えるのは、つらい事実であってもしっかりと受け止め、獣医師とよく相談しながら治療法を選び、そして病気と向き合っていくしかないのだということです。その過程が亡くなった後の後悔や辛さを少しだけでも和らげてくれるのではないかと思い、日々の治療に当たっています。
ペットが亡くなった経験や、そのときのつらさや悲しみによってペットを飼うことを躊躇してしまうことがあると聞きます。しかし、小さな命とともに過ごす月日は、そのようなつらさを上回る幸せをもたらせてくれるものだとも思います。