更新日 2020年02月28日
猫の鉤虫症の症状
鉤虫症では、少数寄生を起こしている成猫ではほとんどが無症状ですが、鉤虫がたくさん寄生すると、慢性的な貧血やタール状の黒色便(胃や十二指腸など上部消化管の出血で時間が経過して血液が酸化され黒くなっている状態)、軟便が見られます。また、子猫が鉤虫に寄生されてしまった場合は、成猫よりも症状が重くなりがちで、貧血やタール状の黒色便の他にも、鮮血便や下痢、発育が遅れていたりなどがあります。発見が遅れてしまうと、貧血や脱水の進行して命に関わることもあります。鉤虫症は症状の程度によって、甚急性型(じんきゅうせいがた)・急性型・慢性型に区別されることがあります。甚急性型は、主に生後一週間の猫に現れる症状で、二週目に入ったころに急に下痢、粘血便や、乳を飲まなくなる、極度の貧血といった症状が起こります。最悪の場合は、死に至るときもあります。急性型は、主に子猫にに現れる症状で、食欲不振、体重減少、腹痛による丸まった姿勢になる、粘血便などが起こります。慢性型は、主に成猫に現れる症状で、慢性的な貧血、体重減少、毛艶の悪化などがが起こります。
猫の鉤虫症の原因
鉤虫症とは、鉤虫という1~2cm程度の白い糸のような体をした寄生虫が経口感染や経皮感染、垂直感染により小腸に寄生することで起こる病気です。鉤虫の口には鋭い歯を持ち小腸の粘膜に噛みついて、その部分を食べたり、吸血したりします。そして鉤虫は小腸で卵を産み、その卵は猫の便と一緒に排出されます。さらに体の外に出た卵が孵化(ふか)して幼虫になり、それが猫の口に入ったり、皮膚から体の中に入り込んで感染を広げます。他にも妊娠、もしくは授乳している母猫から、胎盤や乳汁を介して子猫へと感染することもあります。
猫の鉤虫症の予防/治療法
鉤虫症の治療法としては、駆虫薬の投与、症状に合わせた対症療法、衛生管理が大切になります。下痢や貧血等の症状が重い場合には、輸血や輸液が施されることもあります。なお、駆虫薬の投与が不十分であった場合、潜伏した幼虫によって容易に再感染するので注意が必要です。また衛生管理では、経口感染、垂直感染の経路を絶つことが重要です。鉤虫に寄生された猫の糞便に接触させたり、食べさせたりしないようにするために、完全室内飼育が望ましいでしょう。また、糞便は速やかに片付けることを習慣にします。妊娠の予定がある猫に対しては、妊娠前に駆虫を行っておくと、子猫への感染を防ぐことができます。衛生管理をすることが予防につながります。
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