更新日 2020年02月28日
猫のトキソプラズマ症の症状
トキソプラズマ症では、初感染の際に腸管の中でトキソプラズマ原虫が発育するため、一過性の下痢が見られる程度で、健康な猫であればそれ以降、症状が出ることがなく(不顕性感染)問題なく過ごせます。しかし、子猫や猫免疫不全ウイルス(FIV:猫エイズ)や猫白血病ウイル(FeLV)に感染していたり、免疫力が低下している状態の猫が感染した場合は、腸管以外にも全身感染を起こし、食欲不振や、嘔吐、下痢、黄疸といった消化器症状や、発熱、咳、呼吸困難などの呼吸器症状、運動失調や痙攣(けいれん)などの中枢神経症状が見られることもあります。他にも、ブドウ膜炎など眼症状が起こることもあります。猫や人では妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎盤感染が生じて、流産や死産、早産を引き起こしたり、産まれた子猫が障害を持つこともあります。
猫のトキソプラズマ症の原因
トキソプラズマ症はトキソプラズマという寄生虫の感染によって起こります。猫が感染する経路は、トキソプラズマに感染した豚や鶏などの動物の肉や内臓を生で食べたり、感染している猫の便から排泄されたトキソプラズマのオーしスト(卵のようなもの)が混じった水を飲んだり、グルーミングの際に口に入ってしまったりすることです。他にも、トキソプラズマのオーシストは、体の外に排泄された後でも土や水の中など様々な自然環境でも数カ月から数年生き残るため、ネズミや野鳥などの小動物がトキソプラズマに感染していて、その感染している小動物を猫が捕食することでも感染することがあります。さらに、母猫がトキソプラズマに感染していると、母乳や胎盤を介して子猫に感染してしまうことがあります。
猫のトキソプラズマ症の予防/治療法
トキソプラズマ症の治療は、様々な抗菌薬を単独または複数組み合わせて投与していきます。同時に、下痢や発熱など症状が見られる場合は、それらに対してする治療も並行して行います。ただし、中枢神経症状や全身の症状が重い場合、後遺症が残ったりして予後が良くないこともあります。 予防の基本は、生肉や生焼けの肉を与えない、室内飼育をして感染の機会をなくすことです。肉に含まれているトキソプラズマは加熱すれば死滅するので、豚や鶏などの肉はしっかり火を通すようにし、生肉を処理したまな板や包丁など調理器具や手はお湯や石鹸できれいに洗い流すようにしましょう。さらに、猫を室内飼いにすると、トキソプラズマのオーシストが含まれる、土壌や水、小動物などに触れることがなくなるので予防になります。人でも土や砂に触った後や、猫のトイレ掃除で便を処理した後は必ず手洗いをして、清潔にすることが大切です。
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