猫のフィラリア症/犬糸状虫症の症状

更新日 2020年02月28日

猫のフィラリア症/犬糸状虫症の症状

フィラリア症は、フィラリアの肺動脈到達時期(体内に侵入後、フィラリアが肺動脈に達する時期)と死滅時期(フィラリアの成体が死滅する時期)により症状が異なります。                            フィラリアに感染して3~4カ月後に肺動脈到達し、症状が現れます。肺や気管支がダメージを受け、咳や呼吸困難など慢性の呼吸器症状が見られ、これらをHARD(Heartworm Associated Respiratory Disease 犬糸状虫随伴呼吸器疾患)と称します。他には、嘔吐や下痢といった消化器症状も見られます。慢性化すると、嗜眠、食欲低下、体重減少等も現れることがありますが目立った症状の無いまま過ごす猫もいます。     一方で、フィラリアの死滅時期では、死滅したフィラリア虫体が肺動脈に詰まったり、虫体によってアナフィラキシーショックを起こしたりすることがあり、突然の呼吸困難や虚脱により突然死する場合もあります。

猫のフィラリア症/犬糸状虫症の原因

原因は、フィラリアを蚊が媒介して猫に感染し、心臓の肺動脈に寄生することです。猫では犬と比べて、成虫の生存期間が短く、成虫の雄雌のどちらか一方がだけ寄生するため幼虫が生まれず増えないことと、成虫が寄生しても数匹までなので、症状がでないこともあります。しかし、猫の心臓は犬のものと比べても小さく寄生数が少なくとも影響が大きく重症化する傾向にあります。                              猫にフィラリアが感染するまでには以下のような過程があります。                                          初めに、フィラリアに感染した犬の体内では、フィラリアの成虫がミクロフィラリア(幼虫)を産み、幼虫は脱皮・成長して血管内にいます。  さらに、この感染している犬を蚊が吸血して、ミクロフィラリアが蚊の体内に入ります。蚊の体内ではミクロフィラリアがさらに脱皮・成長をして感染能力を持ちます。ただし、ミクロフィラリアが成長して感染能力を獲得するためには、気温条件があり、寒冷で気温が上がらない、暑い日が続かないような地域では条件が満たされず、感染能力を持ちません。感染能力のないミクロフィラリアを持つ蚊が犬や猫を吸血しても感染は成立しませんが、感染能力のあるミクロフィラリアを持った蚊が、猫(犬も)を吸血した際には、体内に入り込み感染が成立します。                                          

猫のフィラリア症/犬糸状虫症の予防/治療法

フィラリアの治療には、フィラリアの成虫を駆虫する治療と、現れた各々の症状に対する治療です。駆虫するには、成虫駆虫薬の投与もしくは外科的に治療する方法があります。猫の身体状態やフィラリア寄生数によっては、駆虫薬の投与でアナフィラキシーショック等を引き起こす危険性もあり、実施されることはあまりありません。外科的療法は、急性の呼吸困難等の大静脈症候群に陥った際に行われます。猫の場合、フィラリア成虫を駆除することは難しく成虫駆除よりも、フィラリア寄生により起こる炎症や咳症状に対する治療が中心となります。咳や炎症の緩和のため、気管支拡張剤やステロイド剤を投与などでと対症療法をおこないます。さらに、症状の重いものや慢性化している場合は入院が必要な場合もあります。予防のためには、毎月1回定期的に幼虫駆除薬を投与することが重要です。投与時期は、蚊が発生し始める春~初夏から、蚊が姿を消す1ヶ月後までとなります。地域によって差があるため、獣医師の指示どおりに投与するようにしましょう。

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