犬の腎炎の症状

カテゴリー:犬の腎炎
更新日 2020年02月28日

犬の腎炎の症状

糸球体腎炎は病理組織学的な診断名であり、動物病院にかかって診察や検査等を受けた際は慢性腎不全として診断されることが多いため、ここでは慢性腎不全の症状についてご説明します。慢性腎不全では腎臓の障害が数カ月~数年にわたりゆっくりと進行し、最終的に末期の腎不全に陥る慢性的な疾患です。腎臓の障害程度により、第Ⅰ期、第Ⅱ期、第Ⅲ期、第Ⅳ期に分けられます。第Ⅰ期では目立った症状はみられません。第Ⅱ期では尿検査で尿が薄くなっているのが認められたり(尿比重の低下といいます)、軽度の高窒素血症といった検査上の異常が出てきます。尿量が増加したりすることもありますが、症状はあまり目立ちません。第Ⅲ期では検査上の異常に加え、はっきりと臨床症状も認められてきます。尿量の増加に加え、脱水や貧血で元気がなくなったり、体重が減少しはじめます。第Ⅳ期には上記の症状に加え、沈鬱、痙攣などの神経症状や出血しやすくなったりします。最終的に尿を作れなくなり、かなり尿量が減ってしまいます。また、高血圧や尿中に蛋白が漏れ出ることがあるので、その程度でも腎臓の傷み具合をみることができます。

犬の腎炎の原因

糸球体腎炎は犬、猫において慢性腎不全の原因として重要な疾患です。原因としては、ほとんどのものが免疫の異常によるものと考えられています。体内の免疫機構が攻撃対象として認識する抗原と、それに対応しようと産生される抗体の複合体(免疫複合体といいます)が糸球体に沈着して生じるものと、糸球体自体に抗体が産生されてしまい生じるものがあります。犬や猫では血中で形成された免疫複合体が腎臓に流れ着き、糸球体に沈着することで生じるものが多いと報告されています。糸球体腎炎は犬伝染性肝炎や犬フィラリア症、慢性的な細菌感染症などがある場合に発症しやすいと言われていますが、サモエド、ブルテリア、イングリッシュ・コッカ―・スパニエル、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ド―ベルマン・ピンシャ―、シーズー、ラサアプソなどの犬種では遺伝性に発症する可能性があると報告されています。

犬の腎炎の予防/治療法

糸球体腎炎の治療は基本的には腎不全の治療に準じ、感染症など合併症があればそちらの治療も行っていきます。慢性腎不全は、完治する病気ではありません。ですので、治療の目的としては「進行を遅らせる」ことと「飼い主さんとわんちゃんの生活の質を上げる」ことが目的となります。出来るだけ早く治療介入を行うことで生存期間が延びると報告されているので、日ごろから健診などで健康状態を確認していくのがよいでしょう。腎機能低下の疑いありと診断されたら、早期にタンパク質を抑えた腎臓療法食を開始したり、血圧を下げるために血管拡張薬を使用していきます。脱水や高窒素血症がある時は輸液なども実施していきます。重度の場合は腹膜透析を実施する場合があります。貧血が重度の時は輸血やホルモン剤の投与を行います。慢性腎不全の犬では必要な水分を吸収しきれずに尿がたくさん出てしまい脱水しがちです。お家では新鮮なお水をいつでも飲めるように水飲み場をいくつか置いてあげたり、出来るだけストレスのかからないような生活を心がけることが重要です。

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