猫の肝性脳症の症状

カテゴリー:猫の肝性脳症
更新日 2020年02月28日

猫の肝性脳症の症状

肝臓には、胆汁を生成・分泌して消化を助けたり、食物から取り入れた栄養素を体が吸収できるよう加工・貯蔵して必要に応じて体へ送り出す代謝という働きや、体に害のあるもの、体内でタンパク質を作り出す際生成される毒性のあるアンモニアや有害物質などを無害な物質に変える解毒作用があります。                                      肝硬変など肝臓の機能が低下するとアンモニアなどの有害物質が血流に乗って全身に循環してしまいます。さらに血流を介して脳に達することで脳への障害が現れてきます。症状は幅広く、肝炎や肝硬変が原因で起こる食欲不振、下痢・嘔吐など消化器症状や腹水などに加え、脳の障害(精神神経学的障害)により食欲不振、沈うつ、よだれ、全身性の発作(けいれん)、一時的失明、昏睡など様々です。                      また、先天性の門脈-体循環シャントでの肝性脳症場合、よだれや一時失明を起こすことが多いく、他にも発育の遅れが見られたり攻撃的な性格になる猫もいます。

猫の肝性脳症の原因

原因は肝臓の機能不全から起こるものです。代表的なものとしては肝炎などが進行し肝臓全体が硬く変質してしまった肝硬変や門脈-体循環シャントなどです。                                 内臓など全身を巡り集まる静脈血が集合し「門脈」とよ呼ばれる血管     が肝臓に流れ込み、アンモニアなど体に有害な成分の無毒化をしていますが、肝臓に入る前に異常な血管の結合通路(シャント:短絡)が生じたため、肝臓を通らず解毒されないため、有害物質の血中濃度が増えて多くの障害を引き起こします。                            有害物質は主にアンモニアが体内に増えることで、精神や神経機能の異常症状がでると考えられてきましたが、必ずしもアンモニアの血液中の濃度と症状が相関しないため、アンモニア以外にもメルカプタン、スカトール、インドール、単鎖脂肪酸、芳香性アミノ酸なども関係していると指摘されています。

猫の肝性脳症の予防/治療法

肝炎や肝硬変、肝性脳症を発病していない門脈‐体循環シャントでは基礎疾患の治療になります。肝臓の内科的治療による保護や門脈‐体循環シャントを外科手術で修復します。                     他にも、体内でアンモニアの生成を抑える薬を投薬したり、絶食して腸内洗浄することで、宿便を洗い流し細菌の毒素の生成を抑えたり、アンモニアやなどの生成を抑える低タンパクの食事内容に切り替えます。             しかし、肝性脳症を発症してしまうと脳にまで影響が及んでいるため、手術や投薬、食事療法など治療は難しくなり回復困難な状況に陥ります。    症状が重度の場合は、脳へ影響を抑えるためになるべく毒素の産生と全身に回らないよう絶食と腸内洗浄、静脈内輸液でアンモニアの生成されないよう体液の補正などを行います。また、肝性脳症に伴う沈うつや意識が低下している状態がみられる場合には、脳圧を下げる薬などを使い対処していくことになります。                          肝臓は一度機能を失うと再び機能することはないため、これ以上肝臓機能を悪化させないよう治療が行われているのが現状です。        定期的に健康診断を行って基礎疾患の早期発見できるよう心がけましょう。                                        

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