犬の甲状腺機能低下症の症状

カテゴリー:犬の甲状腺機能低下症
更新日 2020年02月28日

犬の甲状腺機能低下症の症状

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって引き起こされる疾患で、比較的高齢のペットに見られます。甲状腺ホルモンは、身体の新陳代謝を促す役割を担っていますので、不足すると、様々な症状が現れます。

なんとなく元気がない、体温が低下する、体重が増える、寒さに弱くなる、といった症状が見られる他、毛が抜け易くなるといった、外見ですぐ判る症状が見られます。特に胸元、お腹、首輪の下等の摩擦が生じ易い部位は、指で毛を引っ張るとゴソッと抜ける場合もあります。尾が脱毛するラットテイルと呼ばれる典型的な皮膚症状が見られ事もあります。

また、この疾患の特徴的な症状として、体内の水分代謝が低下し、ムコ多糖類が顔に蓄積し、皮膚がブヨブヨになる事で引き起こされる「悲劇的顔貌」と言われる症状が出る場合もあります。

血液検査を行うと、高脂血症、非再生性貧血、ALPの上昇等が見られます。

年齢的な面からくる元気の無さと病気が発症した状態が似通っている為、発見が遅れる事もありますので、注意が必要です。

犬の甲状腺機能低下症の原因

犬の甲状腺機能低下症の約80%は、自己免疫疾患によって起こります。自己免疫性甲状腺炎と呼ばれる疾患により、甲状腺が傷んでいくことが原因です。

外部から侵入する物質に対抗するために、もともと体に備わっている免疫機能が、何かの理由によって、自らの甲状腺を攻撃対象として作用し、炎症を引き起こしていることが原因とされています。次に、甲状腺の委縮がありますが、この正確な原因は今のところ明らかではありません。甲状腺の委縮により、ホルモンの作用が低下するといわれています。また、副腎皮質ホルモン異常によるクッシング症候群が発症した場合、これに併発する形で起こるケースも報告されています。さらに、皮膚の炎症やアレルギーの治療に用いられている特定の薬物が、甲状腺の機能を低下させることが分かっています。

他には、一般的に家庭で使われている洗剤や殺虫剤に含まれる物質が影響していることも原因と考えられます。最近は、犬の運動不足も甲状腺機能低下症原因の一つである、という意見もあります。

犬の甲状腺機能低下症の予防/治療法

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの機能が弱まることによって引き起こる症状で、毛が薄くなったり、抜けたりすることが特徴です。また、ペットの元気がなくなるケースもあり、飼い主が気づきやすい症状と言えます。特定の予防法は発見されていないので、皮膚の状態やペットの元気の有無を定期的に確認することが何よりも大切です。

甲状腺ホルモンが体内で不足していることが原因ですから、それを補うための治療が施されます。具体的には人工の甲状腺ホルモン剤を投与する方法です。ペットの毛が抜けてしまったり、元気がなかったりすると深刻な病気なのかと心配になりますが、投薬を始めれば元気は戻しますし、緩やかではありますが、皮膚症状も改善されます。

ただし、症状がなくなれば投薬をやめていいというわけではなく、一生続けなければならないのがこの症状のやっかいな所です。ホルモン剤の量を間違えると、別の症状に見舞われることにもなりますので、適切な量を投薬することが重要です。定期的な血液検査で甲状腺ホルモンの値をチェックしていくことになります。

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