愛犬のおしっこの回数がいつもと違う、気をつけるべきこと

更新日 : 2020年04月01日

出典:PIXTA

犬を飼っている方にとって、愛犬は家族同然。体調がいつもと違うと心配ですよね。トイレの回数は健康状態を見るときに気になるポイントかと思います。

今回は犬のおしっこが多い / 少ないときに気をつけたいことを獣医師に深く聞いてみました。

一般的に正常なトイレ回数って?

ここからは獣医師が「愛犬のおしっこの回数が多い・少ないときに気を付けること」についてお答えします。

はじめに犬の正常なおしっこの量は、体重1kgに対して1日20~40mlで個体差はあるものの、この量を2~6回に分けて排尿します。

では、おしっこが多い時と少ない時に気にしたいこと、疑われる病気など挙げていきましょう。

おしっこが多いときに、気をつけること

おしっこが多いことを、総称して『多尿症』と言います。

排尿回数が増えて、尿の色は薄くなり水っぽくなります。
多尿症は以下のようなときに現れます。
・腎臓の血管が収縮して血圧が高くなったとき
・腎臓への化学的な刺激が加わったとき
・ホルモンの分泌が過剰なとき
など。

多尿症となる例として挙げられる病気をお伝えします。
・糖尿病
・腎障害
・子宮蓄膿症
・副腎皮質機能亢進症
など

ここに挙げた病気は基本的に高齢犬に多い病気です。おしっこが多くなる以外にも飲み水の量も増え、病気によっては食欲不振や皮膚の症状などさまざまな変化が見られます。

多尿症では、おしっこは色が薄くなるものの濁ったり、匂いの異常を起こすものは少ないです。
※糖尿病の場合、尿糖のため甘い臭気が感じられることもあります。

おしっこが少ないときに、気をつけること

次におしっこが少ないときについてです。ここでは「排尿の仕方」に注目してみていきましょう。

1. おしっこが出るまでに時間を要し少しずつ、痛そうに排尿している場合
以下の病気が疑われます。
・膀胱炎
・尿道炎
・包皮炎
・尿路結石
・腹膜炎 など

2. 1回のおしっこの量は多くなく、むしろ少ない。でも頻繁に排尿する…という場合
疑われる病気は以下のものがあります。
・急性膀胱炎
・尿道炎
・前立腺肥大
・膣炎 など

膀胱機能が亢進し、おしっこの回数が増えるため以下の症状の1つとして現れることもあります。
・腎炎

3. おしっこが出なくなってしまった
何らかの原因で体内の水分が失われたり、血圧の異常低下を招いた場合に起こる症状です。以下の病気が疑われます。
・腎炎
・腎障害
・心不全
・レプトスピラ症
・熱中症
・重度の「胃腸障害」(おう吐、下痢)など

他にも腎臓は正常に機能していても、結石などにより物理的に尿管が詰まっておしっこが出なくなることがあります。排尿が少なくなると、結果として体内の毒素を外に出せないため尿毒症を起こすことがあります。

量のほかにも気をつけることって?

おしっこの出かた(多い/少ない)にかかわらず、おしっこの色も重要になってきます。

・薄い色のおしっこ
腎臓でおしっこが濃縮できていないと考えられます。

・血尿
腎臓の病気や玉ねぎ中毒、膀胱炎、尿結石などが疑われます。

・濃い黄色のおしっこ
腎臓の病気に加えて、肝臓病や脱水などの可能性もあります。

・濁っているおしっこ
泌尿器(腎臓・膀胱・尿道など)の細菌感染や炎症が疑われます。

獣医師からアドバイス

おしっこの多い/少ないと言っても詳しく観察してみると実にさまざまです。加えて色や臭いも合わせて考えると「おしっこ」ひとつからでも色々なことがわかってきます。

言葉をしゃべれない愛犬の健康状態を知るために、尿がいつも通り出ているか、量や回数、色、臭いに変わりはないかを観察して、健やかな毎日のためにおしっこを一つの目安として活用してみてはいかかでしょうか。

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